八丈島~青ヶ島 最果ての秘境ツアー その2【八丈島の酔夢】

9/21(月) 八丈島

今回フェリーは、御蔵島を飛ばして直接八丈島の八重根港に入港したため、予定より30分程早く八丈に上陸。

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かめりあ丸から下船したところ、港には送迎の旅館やホテル、レンタカー屋がずらりと並んで下船した客を次々と回収していった。

八重根は小さな港で、岸には火山岩の磯が広がっている荒々しい港である。そのせいか堤防には釣り客が大量に屯している。後で聞いたところによると、連休である事もあって堤防の場所取り合戦で釣り客同士の雰囲気が殺伐とした事になっているのと。

でかい獲物が釣れると、野次馬が集まってワーワー大騒ぎするなど、何が必死な人達が多くてまったり釣りをする雰囲気じゃなかったとか何とか・・・

自分は釣れようが釣れまいが知ったことじゃなく、ぼーっと静かに竿を垂らして俗世を離れた釣りをやりたいだけなので、やはりこういう都会のせわしなさや競争!競争!勝利!という必死さをそのまま持ち込んだ所では、やる気が起きないなと改めて思う。

こういう離島に来たら、時の流れるに任せてぼーっと過ごすのが真っ当だと思うのだがなぁ・・・そういうのは少数派なんだろうか。

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今日の宿泊は八丈島→青ヶ島の定期船「還住丸」が運行していれば青ヶ島、欠航なら八丈島で宿泊と決めていたので、青ヶ島役場に還住丸の運行状況を問い合わせてみるとやはり欠航との事、これも後で青ヶ島で聞いたのだが、この日は青ヶ島の三宝港は凪いでいて全然大丈夫だったのだけど、八丈島周りの海流のうねりが荒くて、台風の待避所である港(多分、防波設備の作りが一番堅牢な神湊港だと思う)から八重根港に出れなくて欠航になったとの事。船の欠航が続いて青ヶ島に閉じ込められた人の記録を読んだ時に、海は凪いでいるのに何故か還住丸が欠航するという不思議な事が続いた、島民に話を聞くと「還住丸はよくサボる」と言っていたと書いてあったが、八丈の港湾状態×青ヶ島の港湾状態で就航が決まるのでは仕方のない事なのかもしれない。

島は奥が深い。

という事で予定通り八丈で確保しておいた宿「八丈島ガーデン荘」に連絡を取ってみる。

ここを選んだ訳は「青ヶ島行きの物好き計画を立てているから、還住丸欠航時にだけ飛び込み宿泊になるかもしれませんが大丈夫でしょうか?」という無茶なお願いをシルバーウィーク只中にも関わらず聞いてくれたからである。

連絡したところ、「他のお客もいるから今八重根に向かっているよ」との事なのでぼーっとかめりあ丸の慌しいコンテナの積み下ろし作業を見物して時間をつぶす。

さっきかめりあ丸の船内で聞いたアナウンスでは、御蔵島に入港できなかった&普段は入港しない八重根港に悪条件の中入港した影響で、清掃作業と荷の積み下ろしが終わったらすぐに東京に向けて引き返すらしい。なので御蔵島行きのお客は下船は許可できないのでそのまま船の中にいるように、なお、帰りの便で御蔵に寄れるかどうかは不明との事。

 

鬼だ・・・まさに鬼畜船だ・・・(;・∀・)

何の罰ゲームだろうか・・・全く・・・

 

離島への船旅の恐ろしさを垣間見た一瞬であった。

かくしているうちに、迎えが到着し、他の宿泊客も拾って宿へと向った。

 

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ガーデン荘は名前の通り、入り口に面した庭が南国植物の庭園になっている民宿で、えらい味のある木造の宿だった。部屋はまぁ普通の民宿って感じの部屋で、この庭がすぐ近くにため、ものすごく小さな蟻が部屋の中を列を作って行進しているのはご愛嬌。田舎にしてはこの程度の虫は少ない方かと。経験的には本土の田舎の方が強烈だと思う。あと薮蚊も入り込んでくるけれど、ちゃんと蚊取りが用意されているのでつけておけば問題なし。

設備は古いけど、トイレや風呂はちゃんとしています。

それ以上にこの宿は図書室があって、ご主人が集めた膨大な量の蔵書が読めるのもよし。

この図書室には、よくこの宿のマスコットの猫(名無し猫)がくつろいでいる。

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ガーデン荘の目の前は小学校、右上に地熱発電所と風力発電所がある。

あとで宿のおばちゃんに聞いたところによると、風力発電所はドイツ製で、台風を想定していない設計だったらしく、台風の直撃を食らって暴風対策の羽根車の非常ブレーキが壊れてかなり手ひどく壊れたとか。曰く「島の天気をなめるな」 と。

地熱は八丈の電力の2割程度を賄っているらしいが、(微量の)硫化水素が噴出して硫黄臭が一帯に立ち込めて当初大騒ぎだったらしい。暫定対策として当初はガス炉を増設して硫化水素を燃やすという戦法で対応して、宿に泊まったガス会社の人曰く「いやぁ儲けさせて頂いております」というくらい派手にガスを燃やしていたとか。東京電力の資料を見る限り、今では工場の煙突につけているような脱硫装置をつけて硫黄ガスを水酸化マグネシウムに吸着させているみたいだ。あと、温泉と同じく鉱泉なので掘った穴に頻繁に堆積物が詰まって大変らしい。今ではボーリングで三本掘った穴のうち、詰まっていないで稼動しているのは一本だけとか。

要はその穴には湯の花が詰まっている訳だから、掃除して取り除いた堆積物をくれないかとおばちゃんが言ったらしいのだが、くれなかったとか・・・まぁその堆積物が人体に対して安全か保障の限りでないって辺りの問題なのかなぁ。どうせなら成分調査をして商品化してみりゃいいのに。

と言う事で、おばちゃんから色々話を聞き、天然の力を使った発電と言うのは難しい物だと思い知る。

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昼飯は近くのラーメン屋で取るといいと言われ、教えられたままに街道らしき道をふらふら5分程歩いてラーメン屋を見つけ、ラーメンで昼食を取る。道中小学生高学年程度の野球チームの一団とすれ違ったが、島らしく全員「こんにちわー」と挨拶をしてくる。

ラーメン屋でもそうだったが、この島は子供が多いような気がする。まぁ高校まではあるから普通にやって行くなら不自由は無いんだろうな。進学するなら飛行機で50分の東京に行けば良いだけだし、生活インフラも十分整備されているから、割り切って住むにはこの程度の離島というのは有りだと思う。

食事後、近くを散歩してみようと更に宿から離れた方向に進むと、海側に向うお寺と神社の案内標識が見えたので、とりあえずそちら方向に降りてみる。

沿道の家は石垣で囲まれたコンクリ作りの家が多く、流石台風のメインストリートにある島の建物だと感じた。お寺もコンクリ作り、本土みたいに木造だと台風が来たらひとたまりも無いのだろう。

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中之郷三島神社に降りてみる。ここの石垣は玉石垣といい、丸い石を積み重ねてできている。宿で後で聞いたところによると、岸壁に転がる火山岩が長い時間をかけて波で削られてこのような丸石になるそうで、その石を流人が海岸から一つ担ぎ上げると握り飯一個を渡すというようなやり方で石垣の材料を担ぎ上げて作ったとか。一つの玉石の周りを6つの玉石で囲む構造が、この島の激しい風雨に耐える強固な石垣になるらしい。

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積み上げ方がこの石垣は大変難しいらしく、今では正確な技術を伝える者は居ないとの事。一部の農家が技術の復興を目指して再現を試みているとか。

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この神社の解説碑に書かれていたには、この神社の石宮は江戸時代末期に流刑にされた石工が作り上げた物だとかで、流されてきた石工が石垣や石造建造物の技術者として重宝された事が伺える。

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しかし、コンクリ作りの建物も潮風と激しい風雨の影響で風化が著しい物が多く、半分廃墟化したような佇まいの建物が多く見受けられるのも島の特徴である。

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流石南国だけあって、そこらの民家の植え込みに、半分雑草化したアロエやこんもり茂ったソテツが植わっていたりしており、東京と比べるとまだ夏の気配が色濃い日差しのせいも相まって夏を一月取り戻したような雰囲気に包まれている。

とりあえず、海のほうに突き出た建物が見えたので、そこを目標地点にひたすら歩いてみた。

森の中から子供の叫び声みたいな声が聞こえたので、???と思ってその方向を暫く見つめてみたら、東京では見たことの無い鳥が叫び声をあげながら飛んでいった・・・まぎらわしいわ。

そしてどんどん海に近づくにつれ建物が無くなってビニールハウスだらけになってくる。どうやら観葉植物などを作っているらしい。そして目的地の建物に到着・・・

 

ゴルフ場だった・・・こんな所に・・・

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しかも、このゴルフ場・・・凄い立地なんだ・・・

コースの片側が島の「断崖絶壁」、コースとコースを区切る境界は天然の「崖」荒波がどっぱーんと磯にぶつかる音を聞きながらのプレーができるという・・・

 

どこのプロゴルファー猿のコースだよ・・

 

ちなみにこのゴルフ場、八丈島シーサイドゴルフクラブといい、ショートコースで4000円でプレーできるので、お好きな人にはいいのでは。

船旅の疲れもあったので、ここで宿に2時過ぎに引き返し、そのまま倒れこんで仮眠。

気づくともう6時半頃だったので、暫く時間をおいて宿の食事に母屋に向かう。

食事は島寿司やら裏の畑で取れた野菜やら釣り客が差し入れてきた魚の刺身やらで、どえらく豪華。しかも瓶に入った焼酎はてきとーに飲んでいいという島らしいアバウトさ全開のシステムである。

焼酎が切れたら一升瓶に入った焼酎が奥の棚に並んでいるのでセルフサービスで補充するのが掟。「情け嶋」という焼酎があっさりしていてとても美味しかった。

青ヶ島に行くと言ったらあちらの名産の焼酎「青酎」もご馳走になった。

味はブラジルの黒糖焼酎「ピンガ」に似た香りのかなり強烈な芋焼酎。何でもここの親父さんは元々八丈島の観光協会に勤めていて、今は東京七島新聞という伊豆諸島のローカル新聞紙の記者さんをしているとか何とか。青ヶ島村の村長とも飲み友達らしくちょくちょく村長が遊びに来るらしい。

で、先週村長が飲みに来て、八丈島の奥さんの実家においてある車を置きっぱなしで帰ってしまったらしく、「車どーするんだ、取りに来ないとレッカーを呼んで崖から海に叩き落すぞ」と村長に会ったら伝えてくれと宿の親父さんに頼まれる。

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同席した宿泊客さん達は 北海道から来たサーファーさんと一緒にきた奥さん、離島大好きで離島赴任を志願しているという都内の中学校の先生、某大学の生物学の教授ご夫婦、それと素潜りで銛を使って魚を捕りに来た元八丈島の教員の方ご一行。

とにかくこの面子、えらく濃くて特殊な人が多く・・・会話のディープさが凄かった・・・特に大学教授さんは、南米に1980年代に調査に行っていたらしく、ブラジルネタつながりで色々ディープな話ができて・・・ええ。中学校の先生曰く「この宿は凄くマニアな宿だから、普通の人は泊まりませんよ。よく探し当てましたね」との事。

青ヶ島に行こうという時点でマニアと言われても何も反論できないのが悲しい・・・

「というか青ヶ島みたいな極端にアクセスの悪いところに行くからスケジュールが不安定なんだけどどーにかなりますか?」何ていう無茶な相談に乗って頂いたのがここだけだったんだけどさ。

その中学校の先生も相当な離島マニアらしくて、次の赴任先は離島を志願しようとしているとか。今は八丈にするか小笠原にするかで大いに悩んでいるとか。生活に関する条件としては「ブロードバンドとアマゾンの通販が届けば何も問題ない」だそうで。

・・・気が合うね。自分も同じだよ・・・。

ちなみに八丈はBフレッツが敷設されているのでブロードバンド環境は東京並み。小笠原諸島はISDNだけだっけな。青ヶ島も学校と役所向けにISDNが電波で飛んでいるだけらしい。

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人間どもが飲んだくれていると、ここのマスコットの猫がにゃーんと鳴きながらふらーっと現れて人の膝の上で丸まったりじゃれてきたりする。とにかくこの猫は大人しくて人懐っこい。

宿のおばちゃん曰く、この猫、あまり生魚が好きでないようで、新鮮な刺身もイマイチ食いつかない小食猫だと。でもって好物は何かとばーちゃんに聞くところ、焼き飛魚(アゴ)だそうで、後日焼き飛魚を飲んだくれながらつまんでいたら「中にいれてー!!」って感じでガラス戸をぶっ叩いている猫がいたり・・・。

この贅沢猫め!

と言う事でいい宿にめぐり合えた幸運を感謝しつつ三日目の青ヶ島上陸へと進む。

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