フードサービス業界の超絶ホワイト企業「富士そば」

富士そばの会長の丹道夫氏の経営方針があまりにもホワイトだと話題になっていたので紹介させて頂きます。

まずは、このゆるーいインタビューを御覧下さい(一部抜粋)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161115-00075095-playboyz-soci

―富士そばは1972年に24時間営業を導入したんですよね。セブン-イレブンよりも早かった。

丹 僕が上京したての頃は泊まるお金がなくて、そば屋に入ったのね。店のTVで力道山やシャープ兄弟の試合を見て時間を潰してたんだけど、店のばあさんから「お兄ちゃん、もうそろそろ閉めるから出て行ってちょうだい」って言われて、上野のベンチで寝るわけ。あの時は寂しかったねー。

この間、僕はね、女房が出かけて帰りが遅かった日に、早く帰ってもつまらないから、ひとりで立ち食いそばを食べたの。そしたら昔のことを思い出してね、なんか涙が出ちゃって。寂しいのが一番嫌なんだよね。

―そんな想いもあって、24時間営業に?

丹 そう。今でも24時間やっていると、随分そういう人が来るんだよ。この間も男のコがスーパーで買ってきたおかずを隅で食べてたの。かわいそうだから、従業員に「熱いスープを丼一杯持ってってやりなさい」と言ったら、喜んで食べてたね。やっぱり東京は地方から出てきた人が多いから、家賃を払うのに精一杯な人も少なくないでしょ。

―お店的には、あんまり長居されても困りますよね?

丹 困るは困るけど、「出てってください」とは絶対に言わない。お互い様だから。従業員にも「冷たくしちゃダメ」と言ってるよ。いつかまたね、いいお客になるんだから。

―社内の会議室には「我々の信条」が貼ってありましたけど、従業員の生活が第一という経営方針があるそうですね。

丹 昔から母に言われてたの。「お金が欲しいなら、独り占めしちゃダメ。みんなに分けてやる精神がないと絶対に大きくなれない」って。だから富士そばでも、前年よりよければ給料を増やしなさいと言ってるのね。それさえしっかりしていれば、僕がどうのこうの言わなくても、みんな一生懸命やってくれる。

やっぱり東京にいる時は、お金がないと前に進まないでしょ。それは僕が痛いほど経験してきたから。汚いようだけど、やっぱりお金はあったほうがいいよね。

―アルバイトにもボーナスや退職金が出ると聞きましたが、本当ですか?

丹 出してるね。人間は平等なんだよ。僕は生まれた頃に父が死んで、母は僕を学校へ行かせるために再婚したの。でも、弟が生まれてからは、継父は弟ばかりかわいがって、僕はいじめられた。その時にみんな平等じゃないといけないと思った。それにそのほうが楽なんですよ。売り上げを増やせば、自分たちに返ってくるとわかってるから、僕が何も言わなくても、なんとかして売りたいといろいろ考えてくれる。

―今、世の中にはブラック企業と呼ばれる会社も多いですが。

丹 あれは損してるなと思うよ。なんでブラックにしなくちゃいけないかね。ちゃんと待遇をよくしてあげれば、みんな働くし、自分も楽ができる。どうしてそんなことをするんだろうね。ああいう企業の経営方針はよくわからない。

―大きい会社でも、内部留保でお金を貯め込むことが問題になっています。それについてはどう感じられますか?

丹 いや、これも内部留保なんだよ。みんなにお金をあげれば、やめずに働き続けてくれるでしょう。従業員は資産だから。

―そんな波乱万丈な人生を送られてきて、今、振り返って感じることはありますか?

丹 自分でもよくここまで来たなと思う。それはやっぱり、みんなのおかげだね。いい人に出会えたから。頭もいいわけじゃない、体も強いわけでもない、そんなハンパ者だから一生懸命やるしかない。そうしたら、みんながよくしてくれたんだよね。

―それは『商いのコツは「儲」という字に隠れている』という本を出すぐらい、ご自身が「人を信じる者」だったからじゃないですか?

丹 一緒に不動産をやった仲間に「どうして一緒にやったの?」って訊いたら、「丹さんには騙(だま)されないと思ったから」と言ってたね。すごく優秀な人もいたけど、悪い人は早く死ぬんだ。「後ろ向いたら石投げられる」なんて言ってた人もいたけど、いつの間にか死んじゃったね。やっぱり、それだけ苦労するんだろうな。

―今の若者に感じることはありますか?

丹 いいと思うよ。このままで。

―それはどういう理由で?

丹 そんなに苦労しちゃいけないと思う。僕自身、バカだなと思った。食べるのに苦労はしないけど、やっぱり大変なことは多いから。今の若者は賢いと思うな。適当に食べるお金があって、自分の人生をエンジョイするのはエラいですよ。

―でも、嫌々仕事してる人もいると思います。

丹 それはいかんね。自分にそぐわないことを嫌々する、そんな馬鹿らしいことはない。自分を変えるか、仕事を変えるか。もっとやりがいのあることをやらなきゃ。それが見つかるまでは、自分を探すこと。僕は自分に何が合ってるのか、本当にわからなかった。父に相談したかったけど、早くに死んでしまったしね。

若い頃に八百屋や油屋で丁稚奉公(でっちぼうこう)してた時は、何も面白くなかった。不動産も富士そばも自分の意思でやったから成功できたんだと思う。だから今の若者もやりがいのある仕事を見つけてほしいね。

―今は息子さんに社長を譲られて、世代交替もあると思うんですけど、最後に50年後の富士そばはどうなっていると思いますか?

丹 それは難しい質問だね。江戸時代は屋台で買える食べ物で、それが普通のそば屋になって、今は立ち食いそばもたくさんできた。僕はそば屋と聞いたら、35%の人が立ち食いそばをイメージしてくれたらいいなと思って、立ち食いそばのレベルを上げる努力をしてきたんです。

―昔に比べれば本当に手軽に安く、しかもおいしく食べられるようになりましたよね。

丹 でも、これがいつまで続くかはわからない。「丹さん、そば屋はいつかスパゲティ屋になるよ」と言う人もいるんだけど、それは間違いだと思うんだよね。スパゲティよりは、そばのほうが慣れ親しむだろうと。だから、あんまり個性を強くしたものはダメだと思うの。飽きられちゃうから。僕が一番不安に思っているのは、そばやうどんよりももっと手軽でおいしいものが開発されること。

―そんなことまで考えられていたんですね。

丹 そうなったら、そっちにいくかもわからないよね。ただ、うちは駅前のいい場所に100店以上確保しているでしょ。これは他の商売でも使えると思うから、違う業種に転換している可能性は考えられる。まぁ、例えそうなったとしても、50年後も残る企業になってほしいね。

 

と、すごーく緩い物の考え方がステキな丹会長のインタビューでしたが、他にも富士そばには色々な伝説があります。

・メニュー?店舗で好きに考えたのを限定メニューとして出していいよ、評判が良ければ制式採用するよ。

→なんとパティシエ出身の店員が蕎麦プリンを作って出したりなど、個人の能力を自由に活かしてかなりフリーダムにやらせているようです。

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・奇抜なメニューも好きにやっていいよ、面白いからSNSで試作品を発表してもいいよ(写真は伝説の「まるごとトマトそば」)fuji01

・限定メニューが売れなくても責任は追求しないよ、皆で軽く笑い飛ばそう、ボツメニューでも、SNSで話題になれば社内表彰するよ!

→ワ○ミなんかは高額のメニュー開発費用をかけていますが、こうすれば現場も楽しく会社としても開発費を安上がりにやれますよね、大変合理的です。

・従業員は全員中途採用だよ、店長が気に入れば経歴学歴一切不問で誰でも採用するよ

→蕎麦茹でや食器洗いに経歴は問う意味はありませんよね、これも合理的

・接客が苦手でも働けるように食券制にして、ほとんどカウンターから出ないで仕事が完結するようにしているよ

・つゆを作るのもコツがいるから、自動つゆ製造機を店舗に設置して簡単にできるようにしたよ

→合理精神の塊ですね。見習いたいです。

・本社は渋谷の雑居ビル内にポツンと構えているよ、フードサービスに大きなビルや組織はいらないからね

→殆ど現場で完結する体制ならたしかに不要です。これも合理的です。

・20店舗ほど新規出店が集まったら、新たにグループ内に会社を設立してそちらに移管するよ。そうすれば新たなポストも沢山できるし、やる気もでるよね、あとグループ会社同士で切磋琢磨し合うようになるから質も上がるよね

→これもいいやり方ですね。名ばかり店長をやらせるのとは訳が違って、経営に直接関わるチャンスを与えるわけですし。

・蕎麦屋だけど年末年始くらいはゆっくりして欲しいから大晦日でも店を閉じるよ

→「年越しそばは家族と食べるもの」と考えているのでしょうか。いい考えだと思います。

・店舗出店目標は一切掲げないよ

→とにかく社員に無理をさせないという考えでこうしているそうです

・完全週休二日制で固定の曜日に休めるようにするよ

→人の定着率が多分良いのでしょうね

・過去最高売上を出したり、売上の良い店舗にはインセンティブをもれなく支給するよ。バイトにも例外なく千円札入り大入り袋を渡すよ。

→従業員を酷使して利益をごま油のように搾り取るワ○ミとは大違いですね

・休憩時間も会社の都合で拘束しているんだからきちんと給料は払うよ

→うちの会社も見習え、正月からボランティアで持ち帰り仕事させんな :-D

 

あと、丹会長は不動産を見るセンスがずば抜けていますね。富士そばの立地って知る限りどこも絶妙にいい場所ですし、昼はサラリーマンに、夜から朝方は夜間工事や作業をしている人やフードサービスや水商売の仕事上がりの食事といった感じで24時間のニーズにきちんと応えて営業をしています。江戸時代の夜鳴きそばの正統進化系って感じですし。

私も現場実習で繁華街の夜間重作業を頻繁にやっていた時代、渋谷の富士そばは作業チームの夜食処として大変重宝していました。

「人を資産と考える」というのは非常に良い考えだと思います。一方でうちの会社がどうかを考えると・・・「人を備品扱いしている」って感じですね。

「減価償却するまで壊れるな」「派手な音をだして動きまくっている方が性能いいような気がする」「壊れたら捨てる」って感じですし。

フードサービス業界の超絶ホワイト企業「富士そば」” への8件のコメント

  1. 富士そば 開いてるといいよねー いくらコンビニでイートインできると言っても、やっぱり違います。

    従業員は減価償却資産ですらなくて、単年度の消耗品と扱われることが多い世の中ですけれども、ヒトを人間と認めて向き合う職場がちゃんと稼いで回っている事例ですね。

    • 現場に居た当時はカツ丼そばセットをかきこみながら「何で演歌を流しているんだろ」と思っていましたが、このインタビューを読んで「歌舞伎町的人情」が源流なんだろうな~と思ったりします。
      漂流民の掬い手としてのパイオニアならでの含蓄あるインタビューですよね~

  2. ちょうど富士そばの本を読んでました。5回辞めて戻ってきている従業員がおられるみたいです(起業失敗の繰り返し)。休憩時間のまかないは何食べてもいいよってのもあったような気がします。

    • フードサービスは前歴前科問わずに受け入れる寛容な環境が根本にあるのかと思います。
      ワ○ミが脱下流化を狙って失敗したのを見ると、やはりフードサービスは前科不問の受け皿であるべきかなという気がしてなりません。

  3. 超絶ホワイトと申しますか、これが普通では?と思ってしまうのですが世の中そうは行かないんですよね…。
    結局強引な手法使って勢い豪の者になったとしても後が続かないから意味がない。
    そうあれかしと思うのですが。

    • フードサービス業界自体がアレですからねー
      参入障壁が一番低い業界なのと、パクりパクられの応酬と過当競争、DQNやオレオレ詐欺上がりの半グレも絡む業界と真っ黒になる要素だらけですし。

    • とは言っても、まーなかなか汚名は返上できないでしょうね。
      人手が確保できない→閉店は大英断だと思いますが。

      今度はユニクロが熱いですよ、センテンススプリング的に。

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