保険の自営業で生きるという生き方 その1

元同僚のJJ君が脱サラして損保の自営業(現在は見習い相当)を始めたので、転職祝いも兼ねてソニー保険から自動車保険を乗り換えたのですが(価格も大差なかったし)、色々提案を受けた中でちょっと気になったことがあったので素人なりにデーターを分析してまとめてみました。

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最初に打ち合わせをした時に言われたのが

「事故リスクは品川に引っ越すと増すと思う」

との事でしたが、私は「それは逆だと思う。道路が広いのと裏路地を使うことが無くなるのでリスクは低減する」と意見が一致しなかったのですが、実際にどうなのかを調べてみました。

これは警視庁が公開している「交通事故発生マップ」という交通事故発生実績の密度分布表です。

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これを見る限り私の住んでいる東五反田近辺の事故密度は五反田駅を除けば全般的に低いことが分かります。麻布や赤羽橋や渋谷も真っ赤ですが、こちらには私は車で行くことは極めて稀なのでリスク要素外としましょう。

知るかぎりは、確かにあの辺りの危険度は平日は凄いですが、私の乗る休日は至って安全な場所だと認識しておりますので補足まで。

そして、五反田駅のどこで多くの事故が発生しているか拡大して調べてみると

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駅の向こう側、西五反田の第二京浜国道と山手通りの交差点、あと五反田近辺のピンクホテル街やピンク街の路地での事故が多く発生していることが読み取れます。(・黒点が事故発生箇所)

更に検索を詳細に絞り込んでみると、トラックなどの業務用車両や二輪車の交差点での事故が非常に多いことが分かりました。山手通りは平日昼間には、非常に業務用車両で混雑しているので、そこをすり抜けようとしたバイクも事故を起こす原因になっているものと思われます。あとはお年寄りの横断中の事故が山手通り沿いに散見されました。一方子供の事故は殆どありません。

ただ、山手通りの混雑は今年(2014年)に首都高品川線が山手通りの地下に開通するため、湾岸線や東名から山手通りに流入してくるトラックはかなり減少すると思われますし、それに伴い事故も減ることでしょう。

ピンク街は私は用がないのでわざわざ車で通りませんし、西五反田も平日昼間はまず通ることは無いのでリスクは低いと考えてよいでしょう。ウィラ大井に行く経路上も危険箇所は見当たりませんでしたし、日曜利用するにあたってもさほど危険な箇所は無いと思います。

休日遠出するとしても今後は五反田ICから品川線で東名か中央道に抜ける事になると思うので事故の多い山手通りをパスすることでリスクヘッジできると考えられます。

そもそも品川区は2014年上半期実績で416件しか交通事故が起きていませんからねぇ :-D

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一方葛飾区は554件、同僚のOTW氏の引越し先の世田谷区は1123件とリスクはこちらの方が大きかったり。

新小岩を比較として分析してみると、路地裏に広く薄く事故現場が分散しているのが読み取れます。あとは駅前の飲み屋街の路地裏や狭いロータリーでの接触事故などが頻発している事が読み取れました。詳細を調べると一番多いのは自転車との事故です。確かにこの辺りは自転車の車道逆走やDQN職人が鋼管やビニールパイプを抱えながら車道斜め突っ切ってくるなど無謀運転が横行しているので、この多さは納得です。あと業務用車両が強引に車と路地の隙間をすり抜けようとして接触したりといったトラブルも多い土地です(一回ボコボコに凹んだ製薬会社のMRのミニバンに軽微な事故をやられた事がある)。

一方OTW氏の住む世田谷近辺なのですが、調べていくにつれなかなか興味深い事実が見えてきました。

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世田谷一帯は道が狭く東西への幹線道路が乏しいため、モザイク状の路地が広範囲に広がっているような構造になっています。なので事故も路地裏と世田谷通りなど乏しい幹線道路沿いに広く分布するような形で広がっています。我が家周辺との大きな差は「極端に危険な所は無いが広範囲にリスクが分散している」という点でしょう。経路を迂回することによるリスクヘッジが難しいというのも特徴と言えます。

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次に梅ヶ丘~経堂~祖師ヶ谷大蔵一帯の自転車事故の分布密度を見てみますと、広範囲に広がりつつ高密度の地域が点在している事が分かります。

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我が家を中心にした分布と比較すると、世田谷は自転車との事故リスクが高い土地であることが読み取れます。注意すべきはこれらの分布が高齢者事故の分布とほぼ合致している点でして、路地裏でお年寄りの乗ったチャリと出会い頭ガッチャーンが広範囲で起きていると推定される土地だという事です。

一方、子供の事故率を調べてみると

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スーパーマーケットや近隣の路地裏、幹線道路の交差点付近での事故が多発しています。

こういった場所は極力車で近づかないようにするのが良いのでしょうが、環八船橋などは交通の要衝である以上難しいのかなーと思ったりしています。

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我が家の周辺と比べても子供・お年寄りに対する対人事故に相当気を使う必要のある土地であることが分かります。

あと、世田谷区広域の状況を確認して気になったのがこれ。

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中央道に入る際に必ず通る上高井戸一交差点や、東名道に入る際に同じく通過する環八船橋や、三本杉陸橋といった事故多発地帯を通過しないといけないというリスクが少々気になりました。しかもここって私の知る限り休日でも首都高渋滞の影響で鬼のように混む場所ですし、アクティブなOTW一家は休日遠出も多そうですし、ここもリスク要因として織り込んでおくべきでしょう。

 

以上を踏まえての各家のまとめ

[我が家]

・基本的なリスク要因は、今の車の使い方では低い

・滅多に使わないだろうが、平日に山手通りを使う際には最大限の注意を、遠出の際には首都高品川線経由を原則とすればリスクはヘッジ出来る。

・想定事故相手としては五反田品川一帯はタクシーが非常に多いので、寝不足の夜勤明けタクシーなどが考えられる。タクシー相手だと対物保険未加入業者が多く、交渉が難航しやすいのでタフな対応ができる業者が良い。

・近隣は休日夜間のトラック等の貨物車両の走行が少なく、運転の荒い車両も少なくリスクが低いので、自身の傷害保険は低めに見積もっても良い。

・想定相手としては外交官ナンバーの高級外車や旧車など厄介なものも多く走っているので、これも事故が起きた際の対応が手厚い方が良い。

・乱暴運転をするDQNの類は少ないので当て逃げ等のリスクは少なく見積もって良い。

・対人事故リスクは低いが土地柄的にきっちり対応できるようにする必要が有るため弁護士特約は必須。

・運転する人間が私以外居ないので、運転は私のみに限定で良い(奥さんにいくら言っても免許取らんし :roll:

・ITバカのスマホ使いなので、事故時の緊急連絡用アプリは極めて有用。最初に提案を受けていればもっと心証が良かったのに・・・

 

[OTW家]

・事故リスクはそこそこ高い。

・想定される事故の種類としては対人事故、自転車との事故の可能性が高い。

・子供とお年寄り相手の事故対応を手厚く見積もる必要がある。土地柄的にも弁護士費用特約を入れておいた方が無難と思われる。

・自宅近隣で対車の事故対象となる相手はミニバンなどファミリーカーが主体なので、交渉は比較的容易な可能性が高い。

・遠出の際には環八の事故多発地帯における事故リスクが高い。この場合事故対象車はトラックや業務車両も多く含まれる。重篤な人身傷害を被るリスクもあるのでそこは手厚くしておく方が良い。

・遠出が多いのであれば、環八での無保険トラック相手の事故リスクが高まるので、弁護士費用特約は必須。

・土地柄的にDQNの類は少ないので、駐車場や路地裏での当て逃げなどのリスクは低く見積もって良い。

・道が狭隘なのと車が大きい事を考慮すると単独事故に対する保障も考慮したほうが良い。

・基本保障をフルにつけて単独をカバーするかどうかは自宅周囲の環境条件などを考慮して判断されたし。

・家族や友人と運転するパターンも多いと思われるので、運転者の保険対象範囲は広く見積もったほうが良い。

 

で、結論です。

現状顧客にどういうリスクが存在して、どうリスクヘッジできるかを広いアンテナを持って相談でき、ヘッジしきれない部分を保険でどう最適に補填するという相談を、データーや根拠を綿密に分析した上で示して営業できるか、そこが保険自営業として自立できるかどうかの鍵なような気がします。資産管理やリスクアセスメントにアンテナを尖らせている層に対してはそれができるできないで大きな営業力の差が出ると思います。

厳しい事を言わせて頂きますが、JJ君にはその点がまだまだ欠けているように思われます。

元気さや爽やかさだけで営業ができる業界とは思えません。

あと、自動車保険の営業をやるならば、自動車で顧客の住居近辺を運転してその土地柄や走っている車種や空気を掴む位のことはしたほうが良いと思います。出来ないならせめてGoogleMapのストリートビューを活用しましょう。あれは土地柄を推察するための素晴らしい情報源です。

JJ君の説明を全部聞いて、私の頭の中で色々考えた上で、彼の持ってきたプランは私にとって有益であることが理解できましたが、一般の一見のお客さん相手にはあれでは商談を取るのは難しいでしょう。そもそも客に分析をさせてはいけません。営業の仕事は客の臨むプランを汲み取って分析を代行し、最適な商材を最適価格で提供することです。その労力が銭となる事を心得ましょう。

顧客の人生や考え方、ライフプランを完全に自分の中でなぞって理解した上で「ぬえ」のようにぬらりと上等な顧客に沿いよって共存関係を築く、それが恐らく最終形なのではないでしょうか。

この際、社畜時代の押し付けがましいライフプランセミナーの価値観などはとっとと捨てて、個人個人の生き方に沿った提案ができるようにしましょう。この手の商材は人それぞれのカスタマイズをいかに出来るかが鍵なのかと思いますので。

以上参考まで。

 

P.S.損保という視点で警察の資料を漁っていたら面白いものを見つけたのでもうちょっと続きます。

保険の自営業で生きるという生き方 その1” への4件のコメント

  1. 住宅ローンと妻子もちで脱サラするとは凄いなぁ。保険の代理店コミッションでやっていけるのかしらん。そんなに鴨葱客って多いのかな?まぁ軍鶏だって食えたら美味いのだけどね。(商売人だったら軍鶏客を1名説得するのに要する時間で鴨葱客を10名捕まえに行きますが)

    • 10人参入して一人生き残れるかという業界のようですね。
      数百人の継続顧客を抱えていないとまともな収入は得られないのが現実のようなので、彼が生き残れるかは少なくともこのブログ以上の分析力に加え提案力の売りを作らないと厳しいと思います。

      個人的にはマイナーな地域のネタをさらりと文章化出来るような類の人種向きの業種だと思います。今回軽く分析した程度でも土地柄や地域の抱える事情や裏面を読み解ける観察眼と分析力が必要な気がしました。

  2. うへー 軍鶏さんと同期悪友つきあいできるくらいの人ならなんとか大丈夫かな?
    値切火災海上とか叩き損害保険とか、本店と闘う自信はあるのかなぁ。呉魔客と本店の板挟みはたいへんだぞー

    • うーんどうでしょう。
      彼は性格的には営業向きとは思いますが、自営でやっていくためには
      かなりの腹黒さと狡っ辛さが要求されると思いますので、
      後ろ盾なしにやって行くのは相当な努力が必要だと思います。
      何せ今までは日本を代表する悪の大企業の代紋背負って仕事をしていた訳ですし
      その辺りの意識改革はなかなか難しいと思います。

      分析の手助け位は当面やってもいいですが、ご指摘の通り先行きに関しては
      ちょっと不安だなと思っています。

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