【書評】「レッド1969~1972」 5巻 [山本直樹 著]

レッドの5巻はアマゾンのレビュー評価が低い巻なのですが、個人的には結構好きな巻です。

山本直樹氏の作品の特徴として、何気ない中継ぎシーンの静止画的なコマ割りが非常に美しく表現力に富んでいる事が挙げられるのですが、本巻の冒頭ではそのコマ割りの美しさが際立っています。

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このカットは赤色軍アジトで公然部隊が密輸した拳銃を引き渡され、懐に拳銃と実弾を忍ばせながら移動、という殺伐としたシーンだからこそ光るわけで、構成の上手さは流石だと思います。

でもって本巻の罪状お品書きです。

 

・関税法違反

輸入してはならない貨物(関税法69条の8第1項)

二  けん銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びにけん銃部品。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。

10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金又は併科

・銃砲刀剣類所持等取締法違反(拳銃等の輸入):3年以上の有期懲役

・銃砲刀剣類所持等取締法違反(拳銃等の所持):1年以上10年以下の懲役

更に彼らは鉄○ダッシュのチャレンジ企画よろしく0円で爆弾製造を開始。

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材料は盗んで調達なのが鉄○ダッシュと違うところですが。

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町工場のおっちゃんのご厚意でパイプを切断してもらい、火薬詰め詰めの雷管ポチッの

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リーダー城○!点火!

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なんかUS版ボンバーマンの表紙を思い出した

・窃盗罪(ダイナマイト・雷管窃盗):10年以下の懲役又は50万円以下の罰金

・火薬類取締法違反(第五十九条 五:第二十五条第一項の規定に違反し、許可を受けないで火薬類を爆発又は燃焼させた者):一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

・武器等製造法違反(第三十一条の三 一 :第四条の規定に違反して武器(銃砲及び銃砲弾を除く。)を製造した者 ):三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

このように、ただの犯罪者集団へと進化を続ける赤色軍、革命者連盟の脱走メンバーの相次ぐ処刑を聞いて、最初は「もはやあいつら革命家じゃないよ。頭おかしくなったんちゃうか?」と言っていたのですが、お前らだって自称革命家のボンバーマンだろうが

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後半からは「処刑」を正当化する事によって、のちのリンチ殺人への伏線となって行きますが、伏線を伏線と読ませないように淡々とリアルを描写しているため、最初読んだ時には何とも鈍くて冗長な展開に感じてしまいます。この辺りに仕込まれた伏線は7巻辺りを読んでから読み返す点と線がつながり、背筋にゾクゾクと来るようになります。

そして、赤色軍は懲りもせず殲滅戦(警官殺害計画)を続けるのですが、色々GDGDな展開の挙句失敗続き。マンガのようにスムーズに事が進まないのは何ともリアリティに溢れています。

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・窃盗罪(自動車窃盗):10年以下の懲役又は50万円以下の罰金

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殺人予備罪:2年以下の懲役

銃砲刀剣類所持等取締法違反(ライフル不法所持):1年以上10年以下の懲役

銃砲刀剣類所持等取締法違反(刃物類不法所持):2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

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で、最後は偵察もせず適当に交番襲撃(殲滅戦)に出向いたため警官不在であっけなく失敗。しかも帰りに無免許運転をした挙句、崖から車ごと落ちて大破。車はナンバーを外して不法投棄。車の持ち主が見たら憤死しかねない状況です。

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アジトに帰ってから北のオヤジに殲滅戦失敗の総括をさせられますが、XX主義、YY的という単語を乱発するも内容はひたすら空虚。論理的な事を言っているようで、実際言っていることはただの根性論。戦術論的に言えば「偵察」を怠って場当たり的な襲撃を行った事の一点に尽きるのですが、敢えて複雑な表現で理屈をこね回し、婉曲的に相手をねちっこく追い詰めて支配する、という北オヤジのやり口も今後の伏線ともなっていきます。

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そして東北から東京に撤退した赤色軍の非合法部隊、この失態を批判した公然部隊と殺し合い一歩手前の事態に。

何というか、ここまで読んでくるとただの「キチ○イVSキチ○イ」の斗いというか潰し合いにしか見えなくなってくるので「好きに殺し合ってろ」という気分になってきます。結局この場はメンバーに止められて殺し合いにはならずに済むのですが、大惨事にならなかった時点で「チッ」と思った辺り、この作品を読んでいると相当心が荒む事を実感しました。

一方革命者連盟の方のキチ○イどもはスポンサーに捨てられそうになってカンパのお願い。

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皆で暑苦しくお願い。

何かに似ているなと思ったのですが分かりました

「松戸駅前のキャバクラの土下座呼び込み」です。

あつら酒を飲んだ後のオッサン集団を見つけるとドーン・オブ・ザ・デッドの高速型ゾンビのように走ってきて土下座合戦をやるので、見ている分には面白いのですが・・・ええ :-)

 

でもって岩木君は爆弾製造をレクチャーしに革命者連盟の山岳ベースに送り込まれます。

でっきるかな♪でっきるかな♪さてさてふふーん♪って感じで技術伝承をさっくりと行っていきます。こうして見てみると岩木くんは理学系の出ながら工学的な技能に優れた人間である事がわかり、これが彼の生き残りの鍵となっていくという伏線ともなっています。

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一方で作中で解説されていた作り方が、防湿対策や素早い点火を可能にする様々な工夫、殺傷能力の追求などかなり洗練されていて感心しました。多分黒色火薬で同じものを作ってもかなりの殺傷力の物ができそうですが、良い子は真似してはいけません。

 

・武器等製造法違反(第三十一条の三 一 :第四条の規定に違反して武器(銃砲及び銃砲弾を除く。)を製造した者 ):三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

でもって岩木君は夜になって革命者連盟の女性に挟まれて寝ることとなり。

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男だらけの軍隊風団体からやってきたため、ついムラムラしてやってしまった。反省はしている。 :mrgreen:

・準強制わいせつ罪:6月以上10年以下の懲役

 

そして赤色軍の公然部隊は銃をシンパの手引で盗み出し火力強化。

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・窃盗罪(シンパの手引により窃盗):10年以下の懲役又は50万円以下の罰金

・銃砲刀剣類所持等取締法違反(ライフル不法所持):1年以上10年以下の懲役

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でもって岩木君の革命者連盟への評価ですが、半分当たっていて半分ハズレです。

 

革命者連盟は岩木くんの指摘の通り、組織の作りが緩いが故に、警察に追われ逃げ込んだ山間部での苛烈なサバイバル生活の中で脱走者が相次ぎ、崩壊が急速に進んでいきます。

しかしながら予測と違った方向で革命者連盟は暴走の度合いを深めていくこととなります。

 

脱走を引き止めるため説得(物理)

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拳銃を持ち出して逃げようとしたメンバーに対し一緒に斗おうとお願いしつつ説得(物理)

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それでも二名のメンバーが脱走し逮捕という結果に。

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以降、「脱走」→「逮捕」→「山岳ベースの場所ゲロられて警察にバレ」→「ベース放棄して逃亡」

を繰り返すこととなり、平行して脱走者(被疑者)に対しての暴力行為が加速的に過激化していきます。

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「何かの目的を成し遂げるための組織」「組織を維持するためにあらゆる手段や暴力行為を行使する組織」へと変貌を遂げる瞬間がこの巻で見られる訳でして、その意味、この巻は重要なターニングポイントを記述した物と言えるでしょう。

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