渋谷エリートバラバラ殺人タガメ女の心の闇を分析してみた その5「復讐鬼と女神達」

William-Adolphe_Bouguereau_The_Remorse_of_Orestes(1862)

まず、今回はこの絵の解説から入りたいと思います。

これはAdolphe William Bouguereau(ウィリアム・アドルフ・ブグロー)の”The Remorse of Orestes (1862)”

中央のフルチン兄ちゃんがOrestes(オステース)

後ろで鬼の形相をしている、ぷるんぷるん三人組は

tisiphone(ティシフォネ) 殺人の復讐神

megaera(メガイラ) 嫉妬深い復讐神

alecto(アレクト) 絶え間ない怒りの復讐神

という三人の復讐神です。

オステースの話は以下の通り。

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オレステース(古希: Ὀρέστης, Orestēs)は、ホメーロスの叙事詩『イーリアス』に登場するギリシア軍の総大将アガメムノーンの息子でミュケーナイの王子である。長母音を省略してオレステスとも表記される。殺伐とした復讐譚『オレステイア』の主人公で、『イーリアス』をめぐる因果応報を精算する人物として描かれている。

オレステイアの概略をかいつまんで解説するとこんな感じです。

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絶世の美女ヘレネーの不倫略奪婚が原因で始まったトロイア戦争。これに駆り出されたギリシア軍の将軍である親父の留守中に母親が不倫して不倫相手の手で親父惨殺、息子も危うく殺されそうになり命からがら逃げる

亡命先で成長したオステースは、父の仇と母と不倫相手をまとめてぬっ殺すが復讐の女神達の呪いで発狂。しかしアポロンやアテナといった武闘派の神様の支援で正気に戻る。ついでに不倫に溺れて大戦争を引き起こしたヘレネーを血祭りに上げに向かい、無事ぬっ殺した後、ヘレネーの娘婿も決闘の末惨殺。

復讐を遂げた後、本人は故郷に戻り王様になってめでたしめでたし。

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この話の教訓は

「不倫精算のための殺人ダメ・ゼッタイ」

「因果応報」

「復讐は人を狂気に陥れる」

復讐神は全員女神なのですが、これは一般的な離婚事例を色々読み漁った感じ、女性のほうが元パートナーに対する復讐心が激しく、復讐を遂げた後も罪悪感や虚無感に苛まれることが少ないという傾向から、女性のほうが復讐に対して親和性が高い存在だという点から性別付けされているものと思われます。

正直、歌織受刑者はこの女神たちの生まれ変わりかと思うほど激しい復讐心が燃え上がりやすい女性であり(実際 殺人+嫉妬+ヒスの3点セットであった訳ですし)、離婚や高額慰謝料といった本来の目標よりも、相手の人生を滅茶苦茶にしてやるという報復目的を達成するための復讐が目的になってしまった「手段と為なら目的を選ばない」という人物像が浮かび上がって来ました。

ここで時は平成18年(2006年)12月の犯行直前の時期に飛びます。

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この頃になると、歌織受刑者はマンション購入のため週末になると夫を連れて物件巡りをしていました。

歌織受刑者は自分が住むためのマンション探しと周囲に話していましたが、夫は投資用マンションの購入と語ったいた所からして、お互いの認識や思惑はずれていたことが覗えます。

祐輔被害者は、この時点ではまだ借金も返済を始めたばかりで、億ションなんぞ買えるとはとても思えない状況でした。精々翌年の収入を見込んでも数千万円の投資用1R物件の購入であったと思われます。

一方歌織受刑者の実家は事業の破綻によって2500万円の借金を背負い、家も会社も全てを手放して細々とパート+年金生活を送る日々でして、この辺りから父親が積極的に娘夫婦の所に介入してきます。

私の読みでは、以前に娘婿に書かせた3600万円の公正証書が娘婿の転職によって換金可能な状態に近づいてきたので擦り寄ってくるのではないかと思います。実際慰謝料をいくら取れるのかという点にやたら執着していたという裁判での証言もありますし。恐らく離婚させて娘から3600万円は没収して借金返済に当てて、どこぞの独居小金持ち壮年~初老男にでも介護要員として嫁がせて遺産をせしめる位の事は考えていたのではないでしょうか。何せこのモラハラ父親は娘を金づると私有財産程度にしか考えていないようでしたし。

さらに、歌織受刑者は友人Cと「夫に億ションを買わせて離婚すれば、億ションは財産分与で貰えるのか?」という相談をしており、夫に億単位の借金を負わせて全てを奪う事を画策していたようです。まぁもちろん「共有財産」の法解釈上そんなマネは無理なのですが。

さらに悪いことに11月には夫が不倫を開始し、3600万円を払いたくないがために離婚を拒否していた夫が態度を変え始めたのが歌織受刑者を窮地に追い込んで行きます。

計画:「夫に億単位の借金を背負わせて今後数十年分の稼ぎを根こそぎ奪い取って復讐し、ブランド品と愛人達に囲まれた悠々自適の生活を送ってやる」

現実:「貰えるのはうまくやって3600万円。減額を求めて調停を起こされたら自分のDVや家事放棄の証言もあるためあまり有利とは言えない。しかも慰謝料をせしめても親に没収され、金づるとして嫁入りという名の売り飛ばしを強いられかねない。夫は5-6年かけて慰謝料を払った後は再婚相手と優雅な生活」

検察側は愛人と共謀してマンション乗っ取りを画策していた事を動機として挙げていましたが、私は違うと思います。

あくまでも歌織受刑者が望んでいたのは

「夫を一生借金地獄に叩き落して、自分は愛人時代レベルの贅沢三昧な生活を一生送り、『私天国・彼地獄』という形に持ち込み復讐を果たす」

という純粋な「復讐」と、若いころに送っていた贅沢で堕落した生活への「渇望」

この二点セットが彼女の胸の中にあったものと思われます。

 

もはやこうなると歌織受刑者は「人(タガメ女)」と言うよりも「怨念の塊=復讐鬼」とでも言うべき存在に進化した訳でして、「般若」に近い代物かとも思いましたが、むしろ「『源平盛衰記」に登場する「橋姫」が近い存在と言えるでしょう。

橋姫

嵯峨天皇の御世(809年-825年)、とある公卿の娘が深い妬みにとらわれ、貴船神社に7日間籠って「貴船大明神よ、私を生きながら鬼神に変えて下さい。妬ましい女を取り殺したいのです」と祈った。明神は哀れに思い「本当に鬼になりたければ、姿を変えて宇治川に21日間浸れ」と告げた。

 女は都に帰ると、髪を5つに分け5本の角にし、顔には朱をさし体には丹を塗って全身を赤くし、鉄輪(てつわ、鉄の輪に三本脚が付いた台)を逆さに頭に載せ、3本の脚には松明を燃やし、さらに両端を燃やした松明を口にくわえ、計5つの火を灯した。夜が更けると大和大路を南へ走り、それを見た人はその鬼のような姿を見たショックで倒れて死んでしまった。そのようにして宇治川に21日間浸ると、貴船大明神の言ったとおり生きながら鬼になった。これが「宇治の橋姫」である。

 橋姫は、妬んでいた女、その縁者、相手の男の方の親類、しまいには誰彼構わず、次々と殺した。男を殺す時は女の姿、女を殺す時は男の姿になって殺していった。京中の者が、申の時(15~17時ごろ)を過ぎると家に人を入れることも外出することもなくなった。

橋姫02

結局のところ、カモろうとした相手(夫)からはあまりカモれる見込みもなく、取れたとしても憎い親に血肉を毟られるのは目に見えており、残されたのは年増のろくな職歴や資格のないバツイチ元風俗嬢の贅沢好き女という残酷な現実。

こうなって追い詰められた歌織受刑者は

「夫も実家も自分を取り巻くものは全部大っ嫌い!壊してやる!あたしだけ不幸になるなんて許せない!だから全部滅茶苦茶にしてやる!」

という自暴自棄的な復讐心があのような短絡的な犯行を起こしたのではないかと思います。

精神鑑定の「短期精神病性障害」という鑑定は私も同意しますが、それを引き起こした彼女のメンタリティには何ら同情は覚えません。

何故かといえば、この手の人間は外的要因によって追い詰められた結果、これらの障害を引き起こす訳ではなく、内向的な恨みのループバックがマイクのハウリングのように増幅し、必要以上の復讐や危害を相手に叩きつけるからです。私的には絶対近寄りたくない類の人種ですね。

結果としては、歌織受刑者は50歳手前まで塀の中行きとなったわけで、塀の中から出た時には「女」としてはもう売るものはあまり無い状態になっている事でしょう。

「人を呪わば穴二つ」という台詞がこれほど似合う人も珍しいとは思いますが、本人としては己の行為に対して反省も後悔も全く無いでしょうし、攻撃性と反社会性を刑務所の中で磨いて出てきた後に何をするかは少々恐ろしいものがあります。

ま、うちの母親みたいに罵声と呪詛を肉親縁者にぶち撒きながら疫病神や祟り神状態になって、老いて朽ち果てる程度で済んでくれれば良いのですが・・・恨みの対象が家族から社会全般に転化して反社会性パーソナリティ障害を発症してしまったら・・・名古屋市連続通り魔殺傷事件の犯人「ひらひらさん」みたいになる未来が私には見えます。

平安時代であれば橋姫を退治した渡辺綱の愛刀「鬼切」でぶった斬って安倍晴明に封印してもらうのでしょうが、生憎現代では事を再度起こした上で「刑務所か鉄格子付きの病院に押し込めて一生封印」でもするしかないのが悩ましい所です。

ある意味彼女は、現代の生ける「祟り神」なのかもしれません。

渋谷エリートバラバラ殺人タガメ女の心の闇を分析してみた その5「復讐鬼と女神達」” への3件のコメント

  1. こういう復讐鬼はもはやヒトを超越していますから、ヒトの社会に戻してはいけませんね。ナントカ神殿でも友愛を標榜する鳩とかいうヒトの寄進で建ててもらって御本尊に祀りましょう。音羽あたりに建立すれば大手町の将門塚みたいに都の開発の邪魔になることも少ないのではないでしょうか。

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